静か?
ここが静か...だなんて。
いいえ。
全くそんなことはない。
波は荒いし、風の音はごうごうとうるさい。
周りでは、たくさんの生き物の鳴き声がする。
こんなにたくさんの音の洪水の中、
繊細な音など聞こえはしない。
ましてや、大地のリズムなんて。
発した声の波のゆくえなんて。
それはひっそりした森の中でなら。
シーンと静まり返った湖面なら。
もしかしたら、感じるかもしれない。
けれど...こんな賑やかで、
ダイナミックな自然の中に、
その囁きを聴くことなどできるのだろうか。
「できるよ。ここが、静かなら。」
そう言って、「ここ」と指差されたのは、胸の真ん中。
「そして、ここが聞こうとするなら。」
それは、周りの音のことでなく。
耳だけで聞くものでもなく。
心を、静やかに。
存在に耳をすますこと。
周りがどうあるかに関係なく。
「海の波や風や...彼らの音は、ただの共鳴。
だから、なにもうるさくなどないよ。
本当にうるさいのは、電磁の波。
それらは、存在の波動を遮り、
静かな凪を荒くしてしまう。」
あぁ、そうだ。
静けさを妨げるものが、この世界にある。
「それは、君が共鳴すべき波ではないよ。」
文*絵 えま
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