2016年4月27日水曜日

Wind Wave

静か?

ここが静か...だなんて。


いいえ。
全くそんなことはない。

波は荒いし、風の音はごうごうとうるさい。
周りでは、たくさんの生き物の鳴き声がする。

こんなにたくさんの音の洪水の中、
繊細な音など聞こえはしない。

ましてや、大地のリズムなんて。
発した声の波のゆくえなんて。

それはひっそりした森の中でなら。
シーンと静まり返った湖面なら。

もしかしたら、感じるかもしれない。

けれど...こんな賑やかで、
ダイナミックな自然の中に、
その囁きを聴くことなどできるのだろうか。


「できるよ。ここが、静かなら。」

そう言って、「ここ」と指差されたのは、胸の真ん中。

「そして、ここが聞こうとするなら。」



それは、周りの音のことでなく。
耳だけで聞くものでもなく。

心を、静やかに。

存在に耳をすますこと。

周りがどうあるかに関係なく。


「海の波や風や...彼らの音は、ただの共鳴。
だから、なにもうるさくなどないよ。

本当にうるさいのは、電磁の波。
それらは、存在の波動を遮り、
静かな凪を荒くしてしまう。」


あぁ、そうだ。

静けさを妨げるものが、この世界にある。


「それは、君が共鳴すべき波ではないよ。」






文*絵  えま






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