2014年10月8日水曜日

二楽章〜その2♪

彼らが冬に赤道に近い海で過ごす理由は、 
子育てのためだ。

その辺りの海は穏やかで、 
子供を育てるのに適してるんだ。

波が荒いと、産まれたばかりのまだちゃんと 
呼吸が出来ない子クジラに、 
彼ら独自の呼吸の仕方を教えるのは難しいんだ。 

穏やかな海の浅瀬なら、シャチに教われる心配もないしね。

海での暮らし方をしっかり覚えて 
成熟するまでの間は二〜五年間くらい。

彼らは君たち人よりも早く自立してゆくのさ。


そうやって彼らは長い距離を回遊しながら生きている。

けれども、このことについて、 
人はまだ色々なことを解明出来ないでいる。

例えば、とっくにお産や子育てを終えて 
もう年老いておじい・おばあとなった クジラも 
一緒に回遊するその理由さえ、明確にされていない。



 そして、彼らは海の中ならいろんなところへ 
自由に行くことができる。

でも、そんな彼らでも、 
赤道を越えることはできないんだ。

例外はあるけれど、ほとんどのクジラは 
赤道の海の熱さには対応できない。

だから同じクジラでも北半球と南半球とで 
分かれてしまっているんだ。

 最初にクジラはオキアミを食べているといったけど、 
すべてのクジラがそれを主食としているわけではないんだよ。

クジラは、大きく二種類に分かれている。 
一つはハクジラ・・・僕たちイルカもその仲間さ・・・で、もう一つはヒゲクジラ。

まあ、これは人間がそういう風に区別しているだけだけど。

 ハクジラは口の中に鋭い歯を持っていて、 
魚や深海に棲むイカなどを主食にしている。 
また、シャチのように獰猛なものは、 
ジラやアザラシなどを襲う物もいるんだ。 
けっこう攻撃的だけど、大きさはヒゲクジラよりも小さめなのさ。

 ヒゲクジラは歯の代わりに鯨鬚という器官が 
上の顎から生えているんだ。

これは髭のような物を束ねて板状になったもので、 
主食であるオキアミや小魚などの小さな生き物を 
濾しとるために使われている便利なものさ。

 これがハクジラとヒゲクジラの主な違いで、 
他にもいろいろ違いがあってもっと細かく分類できる。 
だけど、僕らにしてみればどれも同じクジラなんだから、 
わざわざそんな面倒なことをしないで 
クジラはクジラでいいじゃないかと思うんだ。


何度も言うように、人はすぐに”違い”で 
区別しようとするからね。

違う所を探すよりも同じ所を見つける方が 
いいと思うんだけど。


というよりも・・・

「違い」と「同じ」に分けるっていうこと自体が、 
とても不思議なことなのさ。

僕らにとっては、ね。


イラスト by92

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